・靖国通りは、新宿から九段下を通って東へ伸びる、東京中心部の重要な東西軸。
・九段・北の丸・千鳥ヶ淵周辺には、皇居外濠、江戸城の痕跡、靖国神社、
日本武道館、千鳥ヶ淵戦没者墓苑などが集まり、地理そのものに東京の歴史が折り重なっている。
・この一帯は、ただの桜の名所ではなく、江戸の城郭都市、近代国家、戦争慰霊、戦後文化施設が
同居する場所でもある。
・靖国通りは、それらを一本の線で結ぶ、いわば東京の歴史の回廊なのだと思う。
・一方、瀧廉太郎の《花》は、1900年刊の歌曲集『四季』に収められた作品。
・この曲には、隅田川の水辺、春、桜、舟遊びといった、
近代東京の市民的な春の風景が息づいている。
・墨田区が今も愛唱歌として位置づけているのも、その地域記憶の深さを物語っているように見える。
→ こうして見ると、東京の春景には、
九段・千鳥ヶ淵の「公的記憶の桜」と、
隅田川の「市民文化の桜」という、
二つの系譜があるのだと思う。