広げていた手帳のページをめくって
君は昨日をふり返る
夏の日の出来事を ひとつづつ確かめるように
シートの上に揺れる 樹々は陰を落とす
あの夏の光を いまでもはっきりと思い出せる
誰かと話しているときに見せる
無防備な横顔
バスの中でいつの間にか
君は彼の仕草を目で追っていた
あの日の言葉ひとつで
変えられた未来が あったかもしれないのに
君は何も言えずにただその夏を過ごした
それから季節は変わったのに
あの夏の光だけが 今でも瞳の奥に焼きついたまま
窓を開けると 風の匂いと眩しさに
君はもう一度その瞳を閉じた